悪徳業者とは

 この業界では、依頼人や調査対象者の弱みにつけこんで恐喝するといった事件が絶えなかったのである。小説やテレビドラマなどフィクションの世界に登場する探偵は、推理と行動力を駆使して犯人を追い詰めてゆくが、現実は探偵が犯人を追及するよりも、探偵自身が犯罪を犯して逮捕される場面の方が圧倒的に多い。昭和61年に警視庁が実施した調査では、暴力団が経営する会社が21社にのぼった。暴力団対策法を逃れるために、探偵社の看板を掲げているのだ。もともと人の弱みをつかむ仕事なので、恐喝の材料には事欠かない。戸籍謄本の入手、不法侵入、盗聴など違法な手段を使わなければ調査ができないこともある。そのため、警察沙汰は、日常茶飯であった。

新潮社ノンフィクション「追跡者」より

  
多重広告社とは


 ……東京23区のタウンページは、「港・品川・目黒・大田区版」など区域別に5つの版に分けられていたが、1ページ広告を5版すべてに掲載すると、モノクロ印刷で1ヶ月に177万円かかった。それを1年間払いつづけるので、1ページの広告を出すだけで2千万円を超えてしまう。中には、億単位の広告費を投じて1つの版に5ページ以上も広告を掲載する業者もいる。全国展開と銘打っておびただしい支店の電話番号が列挙されていても、実際は転送電話になっていることが多く、広告の大きさは、企業規模や調査力と比例するものではなかった。
 殊に、3部の仕事は、依頼人が密かに調査を依頼するものなので、いくらよい仕事をしても、口伝てで評判がひろがってゆくことが少ない。反対に、依頼人が調査内容をもとに恐喝などの被害に遭っても、秘事が公にされる恐れがあるため、泣き寝入りすることが多かった。この業界は、広告宣伝に頼るばかりで、健全な競争原理が育ってゆかないという大きな問題をはらんでいたのだ。
 莫大な広告の支払いを支えているのは、その世界について無知な依頼人たちであった。

新潮社ノンフィクション「追跡者」より

  
悪徳業者や素人探偵社の見分け方


・ 「会社の所在地」や「代表者」が明示されていない(責任の所在が曖昧である)。

・ 「調査料金」が明示されていない。
  また「5000円より」など、異常に安く曖昧な料金が表示されている。

・ 会社の規模を大きく見せるため多数の転送電話を表示している(上記の「多重広告社」を参照)。

・ 健全な経営ではとても採算が合わないような高額な広告費を使っている。
  (上記の「多重広告社」を参照)

・ 会社の設立年月日が浅い。また、定款に複数の目的が記載されている。
  (法務局で会社謄本を入手してみる)

・ 代表者や役員が過去に犯罪を犯している(過去の新聞記事や雑誌等を検索してみる)。

・ 調査料金の安さばかりをPRしている(ズブの素人や学生のアルバイトを使用しているケースが多い)。


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